ウィリアム・モリスとモダンデザインの試みについて①

はじめまして、xxx株式会社デザイナーのオコバです。

オコバの由来は“おこちゃまなババァ”からきているそうです。エイジィの方々はウイットに富んだ発言が得意な方が多いのですが、お言葉が過ぎるところがたまに傷ですね。そして、今回のような突然の無茶振り企画の扱いにも頭を悩ませるところであります。しかしながら、我らが愛しのくぼっちが、業務に関連することないしこれまでの経験に即した真面目な記事を書いてほしいという依頼をいただいたので、今回のアドベントカレンダーでは、私がデザイナーという職能に興味を持ったきっかけとなったモダンデザインの試みについて2部に渡り書いていければと思いました。

私は元々、美術史や美術の概念といったものが好きだったのですが、学生時代職業選択をする時期にウィリアム・モリスに関する文献に出会ったことがデザイナーになろうと決めたひとつのきっかけでした。

W ・モリスはモダンデザインの父と称され、一八三四年に生を受け、産業革命と大英万国博覧会とを同時期に生きたイギリスの人です。 彼の目立った功績には、植物や動物をモチーフとしたテキスタイルや壁紙のパターンなどが上げられることが多いのですが、彼にはその他にも、詩人、工芸家、社会革命家、芸術家、作家、社会主義者(マルクス主義者)と、極めて多面的な分野においても偉大な功績を残しています。

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出展:wikipedia

私は彼の装飾デザイナーとしての功績、つまり彼の作った様式そのものだけに興味があったわけではなく、彼の思考、目指した世界に強く共感するものがありました。そして今日のデザインの解釈に強い疑問を持つに至たりました。モダンデザインの父と称されたW・モリスは、産業革命によって生まれた産業ブルジョワジー(資本家)とプロレタリーアート(賃金労働者)の間に生まれた階級格差を嫌い、社会革命家として、芸術の力によって資本主義批判と労働者階級の勝利のために戦った偉大な革命家という顔を持っていました。

W ・モリスは、統一された総合芸術による生活空間を、職人の手によるものづくりによって創出することで「労働者に働く喜びと、生活の質への根底的な改革」を試み、芸術をすべての民衆に取り戻すということを実践に移した人でした。

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(大英万国博覧会)出展:wikipedia

つまり、産業革命は、かつて職人が手によるものづくりよって仕上げていた精巧な仕事を奪い、その手仕事による造形を機械によって意図も簡単に捻じ曲げ、大量に市場に流し込んでしまったのです。産業家は大量生産とコスト削減の観点から新たなる機械の時代を歓迎しました。

こうした時代の中で生まれた資本家、産業ブルジョワジーは多額の資本を元手に事業拡大の一途を辿りました。すると、かつての職人は労働者階級として位置づけられ、機械化の進む産業の駒として単純労働を 安価な賃金で押し付けられるようになりました。

また、新たな富裕層として現れた産業ブルジョワジーは、自分たちの美としての伝統を持っていなかったため、同時期に起こった世界から寄せ集めの展示会(万国博覧会)を前に居住空間は異国折衷と大量生産によるまがい物で溢れかえり、 美意識は混乱していきました。

そういった時代の中に生まれたW・ モリスは、アーツ・アンド・クラフツ運動を通し、統一された総合芸術による生活空間を職人の手によるものづくりによって創出することを実践に移した人でした。

そして、生活空間の混乱を芸術によって再統合し、労働が創造の喜びを伴っていた中世におけるものづくりの喜びを取り戻し、労働に働く喜びを取り戻そうとしたのです。

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というところで、次回また続きを書いていければと思います。

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